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help リーダーに追加 RSS 俳句漫評6 赤尾兜子

<<   作成日時 : 2008/06/14 15:41   >>

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 昭和五十六年三月、赤尾兜子は生と死の間を彷徨っていた。三橋敏雄に宛てた葉書には、「・・・高柳(重信)氏から御聞き及びと思いますが、どうも体調イケマセン。思えば、ながくおつきあい願いました。もう顔を合わせる機会(元気で)があるかどうか、人間の健康って薄紙のようなものですね。寂しい兜子です。酒がノメマセン・・・」とあった。そして三月十七日、踏み切りで亡くなった。遺した話題句は、
  鐡階にいる蜘蛛知慧をかがやかす    (蛇) 
  空井戸あり繃帯の鶏水色に        (虚像)
  犀のような手相わが野に流れる酢    (虚像)
  歸り花鶴折るうちに折り殺す       (歳華集)

など数多い。
 昭和三十年代の彼の句は難解であった。兜子は、心の中に大きくうねる感情の起伏を押し殺すことを常としたが、時々それが爆発して殻を破った。堪えきれずによく哭き、憤った。酒を飲んで荒れた。激情型詩人である。
学友だった司馬遼太郎は俳人兜子の苦しみを洞察していた。兜子は大いなる権威に庇護されることが皆無に近かった、と述べ、その詩質は、既成の権威から愛されるようにはできていない、と言い、さらに続けて、
 兜子はその才質にも根ざしているが、謀反の道をえらんだ。俳壇的にみれば反正統的な、いわば厄介者である   かもしれないが、しかし芸術の立場からみればこれほど正統的な歩き方はない。芸術はもともと永久に謀反であるべきだからである(傍線は筆者)。
と書いている。
  
   行過ぎて電車止まりぬ兜子の忌     栗林 浩

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