和田悟朗句集『風車』

和田悟朗さんから句集『風車』を戴いた。重い句が多い。といっても昔の「重くれ」とは違う。妙に哲学性があるのである。私事ながら、宮城県塩竈の句会(高野ムツオさん主催)で、和田先生から拙句が特選をうけたことがある。〈塩竈の塩煮る竈や梅真白〉であった。先生も塩竈神社で塩を煮た釜をご覧になったので、挨拶句として取って下さったのだろう。赤く錆びた釜のそばに白梅が印象的だったのだ。あとで、先生は「塩煮る」が「盬煮る」ならもっとよかった、と仰って下さった。

008 盆梅や家の中にて猛樹たり
010 風光り仰臥安静して多情
012 つばくろに光の糸の縺れなし
012 真空の手前で返る燕かな
016 噴水の始めは天を驚かす
021 短夜の隣家に車来て静か
036 立ち上がり鹿の無聊の了りとす
079 これだけの菊を咲かせて怠け者
093 一月や近江の水を海が引く
098 梅咲けり地球の裏に誰か居て
131 八十を越ゆれば宇宙あたたかし
148 百歳はしだいに遠し蝉止まず
177 弱国の記憶はるかや冬の虹
186 歓声は沖より来たり風車
200 不戦より非戦貴し合歓の花
212 身中に昭和は続き年惜しむ
213 西方に大国興り枯野かな

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