山元志津香句集『木綿の女』共鳴句抽出


 山元志津香さんの第三句集である。文學の森、平成27年3月刊行。表題は「木綿は何回でも洗いが利くから」ということから来ているという。
 氏は「八千草」俳句・連句会の創刊主宰であられる。


画像




 自選句は、次の10句。
 
   地のホック其処ここ外し地虫出づ
   はつこひはうまごやしてふティアラから
   しなやかな鬼女になりさう梅雨満月
   山頭火になりきつて飲むしたたり
   落ち蝉を反すや「謝々」と飛びゆけり
   隼人瓜をとこも月に濡れたがる
   萩・尾花パラフィンに透く相聞詩
   海晩秋禱りの棒切れ砂に挿す
   寒むや寒む言葉の崖はくちびるに
   螺旋階段がんがん行くは寒九郎

 筆者(=栗林)は、共鳴句多数から、次の5句を掲げたいと思う。

009 春ショール靡かせ鳥になる途中
031 美しき嘘の箱ありクリスマス
055 誰彼に近くゐたき日花八つ手
070 白南風や木綿の女になつてゆく
121 眉をやや上げて引く朝なごり雪

 一句目。甘い句であるが、「靡かせて鳥になる途中」の「途中」が気に入った。二句目の「嘘の箱」はデパートのディスプレイの空の箱であろうか。美しく包装されてはいるが………屈折のある句。
 三句目。何故か人懐こくしたい日というのは、確かにある。その情感が良かった。四句目は、冒頭に書いた。この句集中、最も共鳴した一句。
 五句目。女性が朝の化粧をするとき、こういう日もあるのだと気付かされた。
 総じて、情感豊かな作品集であった。塩野谷仁「遊牧」代表が、「この人の言葉への新鮮な把握は『身体感覚』」と言ったのがよく分かる。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 6

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
面白い 面白い
ナイス
かわいい かわいい

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック