「気になる俳人」ー3女流を訪ねて

………それぞれに吹く風愉し………
                     
 「晶」は草田男を敬愛する長嶺さんが起こした季刊同人誌で、紙面の美しいさと、草田男を思慕する堅実な内容
が魅力である。縁あって長嶺千晶さんの「晶」に表記の短い記事を載せていただいた。その全文を以下に掲載する。但し、原文には筆者の思い違いがあったので、訂正したものを掲げる。



画像



引用

 平井さち子さん

「萬緑」の元同人会長の平井さんが、札幌時代(ご主人が北大医学部生化学教授だった)に寺田京子と親しい間柄だったことを知り、寺田論を書くときにいろいろ資料をお借りした。楸邨や澄雄が札幌を訪れた時の京子とのツーショットの写真や、京子の録音テープなどである。「萬緑」の花田春兆さんのお仲人でもあられたので、春兆さんのことを書くときもお世話になった。その後お嬢さんを亡くされ、今はお一人でお住まいだ。俳句はしっかりと続けておられる。「夏草」「萬緑」などの若手中心に「子午線」という雑誌があって、その流れにある「おほとり」という句会の世話役(於学士会館)や、荻窪の読売俳句教室の講師などである。この読売の教室にはフランス語教室もあり、草田男のお嬢さん中村弓子さんが講師をされているそうだ。
昨年出された『日々片々』の後の近詠を伺った。

  高々と爆ぜし花火の子沢山
  産土をしかとつかみて朴落葉
  来し方やその白光の木の葉髪
  猫柄の手提げを膝に冬日差
  つぶやきを胸底に溜め毛糸編む
  指鳴らしいざや一歩を十二月
  歳晩のを空へ放つや「ありがたう」
  数へ日や千羽に足らぬ千羽鶴
  さざなみの返す湯の波柚子の笑み
  指きりの小指冷すな夫の忌

柿本多映さん

 三年ほど前、柿本多映論を書くために三井寺にお邪魔した。またこの秋、智証大師の生誕一二〇〇年を機にいろいろな秘仏が開扉されると聞いて訪れた。お蔭様で千年前の別世界にこころを泳がすことが出来た。普段、ご本人は体の色んなところが悪いとかを口にされるが、相変らず身のこなしと機転は早い。桂信子賞や詩歌文学館賞を立て続けに受けられ、以来、大多忙のようだ。この頃は突き抜けた句が多くなった、と言われる。昔からそうではなかったかと、筆者は思うのだが。

  来てかへる老女に蝮草二本
  少し老いあやめの橋を渉るなり
  新月がケタケタ咲ふ終の家
  籠抜けの鸚鵡と銀河鉄道と
  黒揚羽半身はもう水である
  種おろす指をみている子供かな
  蝉の殻貰ふ大きな雲の下
  潜るなら黄泉まで潜れかいつぶり
  駅頭に猫の駅長日短か
  金環日蝕密豆はまだですか

澁谷道さん

『俳人澁谷道―その作品と人』を書くとき、大阪のご自宅へお邪魔し、随分とお世話になった。そのころから体調を崩され静かな暮らしをされておられたが、今年、弟さんがお住まいの埼玉に引っ越された。関西から関東への住環境や文化環境の大きな変化があったことは、想像に難くない。この間、初めてお住まいをお訪ねしたが、至極お元気であられた。筆者は、たまたまその前の週に山形をドライブしたので、最上川、芭蕉乗船・下船の地、兜太通り、澁谷家跡などのお話しをしたら、身を乗り出すようにして聴いて戴けただけでなく、ご自分から泉が湧くように、新庄の澁谷家の思い出話を披瀝してくれた。窓から見える竹林が京都を思い出させるとおっしゃって、至極気に入っておられるようだった。ここでは、筆者が名句だと思っている彼女の句を掲げよう。

 馬駈けて菜の花の黄を引伸ばす
 灰のように鼬のように桜騒 
 冬最上あらあらしくも岐れずに
 雛箪笥あくやふくらみでる縮緬
 死の時刻問われ桔梗の数を言いぬ
 折鶴をひらけばいちまいの朧 
 米袋ひらいて吹雪みせてあげる
 母在せり青蚊帳といふ低き空
   
少し前に、正木ゆう子さんが道さんを訪ねて、ご挨拶
の句を書き置いて行かれた。部屋に飾ってあった。

 澁谷道紅花半夏ひとつ花     正木ゆう子

「晶」の発行元は 〒186-0003 国立市富士見台4-41-1 105 村野様方 晶俳句会
ブログは http://kikandoujinshisyou.blogspot.jp/ です。

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